国籍を超えた開発組織と生み出すプラットフォームー不動産テック開発責任者に聞く
WealthPark株式会社で、VP of Engineeringと呼ばれる開発責任者を務める藤井貴浩さん。エンジニアが天職とも言えるような経歴を辿りながら、楽天でグローバルなキャリアに磨きをかけます。やがて同社に出会うと、吸い寄せられるように現在のポジションへ。語学力を武器に、開発サイドのマネジメントに強みを持った藤井さんにその秘訣を伺いました。
エンジニアや海外経験を豊富に積む中で見つけた、自分のポジション
学生時代は、どのように過ごしていらっしゃいましたか。
エンジニアになったきっかけを思い起こすと、小学校の教室に先生がMacのPCを置いてくれていたことがきっかけだったかもしれません。周りよりも少し早く使いこなせるようになったこともあり、より操作に興味を持ちました。自分のホームページを作っていたほか、やがてはアプリを一人で作ったりと様々な制作、開発をするようになりました。その後、高校の頃は部活三昧でしたが、進学した東京理科大学ではプログラミングを専攻する中で、エンジニアの道を志していたことを思い出します。
ファーストキャリアを教えてください。
新卒では楽天に入社しました。当時はリーマンショックの直後というタイミングでしたが、楽天はそんな世の中に打って出ていこうと表明していて、積極的な強い印象を受けたことは忘れられません。入社後は、エンジニアとして旅行事業の開発を担当しました。公用語が英語の企業でしたので、英語を学ぶ機会を数多くいただき、キャリアの裏付けになったと思います。例えば海外出張へ行ったり、開発していたアプリも国外がターゲットであったりと、グローバルな経験ができる機会を沢山もらいました。
転職のきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。
環境や仕事には大変恵まれていたのですが、10年働き続けた節目に一つの区切りを感じ、転職を視野に入れはじめます。WealthParkへの入社きっかけは、海外志向にあったかもしれません。エンジニアチームは8〜9割が海外の方で、当時はそのメンバーを統率し、マネジメントができる人を探していました。エンジニアという職種、国籍や言語はさほど関係なくボーダレスで取り組めるものだと思いますし、日本で働く外国籍エンジニアも多いように感じます。これまでの自分のキャリアからしても、この場所が「自分だからこそできるポジション」ではないかと思っていましたね。転職活動時はいくつか話を聞いて、最終的に二つの会社で悩んでいましたが、最終的には会社の掲げるミッションに惹かれたこと、また今いるポジションが大変そうと率直に思ったことが入社の決め手になりました。逆に、難しそうであるからこそ挑戦したいと思ったのです。
40人弱の開発組織を率いながら、マネジメントで重要視すること
現在、どのようなビジネスをされていますか。また藤井さんは、会社でどのような役目を担っていらっしゃいますか。
WealthParkでは、オルタナティブ資産のプラットフォームの実現のために3つの事業を展開していますが、私はその中で開発責任者として、全事業を網羅して管掌しています。開発組織は30〜40名ほどの人数がいて、チーム数は7つ。フロントエンド、バックエンド、モバイル、QA、SRE、アジャイル(プロセス改善)、セキュリティチームを率いています。また、メンバーの採用・評価・オンボーディングはもちろん、開発アイテムをどの順序でどんな優先度で進行させるのか、というプロダクトロードマップを設計しています。
マネジメント面では、チームのメンバーとゴールの設定、フィードバック、キャリア相談を重ねる中で、エンジニア全員が気持ちよく働けるように、エグゼキューションまで見ています。やりたいことややるべきことが素直にできるように、いつもフォロワーアップしたいと思っています。自分がプレイヤーとして現場に携わる時間は徐々に減ってきました。そんな中で、自分個人の力を発揮することと、メンバーの力を最大化すること、どちらの方が会社全体に貢献できるのかをいつも考えています。特に今は組織を大きくするタイミングなので、意識的にマネジメントの側面に注力しようとしている部分もありますね。
現職へ入社後、マインドセットやスキルに変化はありましたか?
組織全体への視野でしょうか。当社の場合は事業の横展開の幅が広く、より汎用的な知識が必要なため、今までは知り得なかった多くが学べていると感じます。あとは、「決断」することが前の会社に比べて増えました。決めることのスピード感は全く違います。日々自分のマネジメントのやり方が正しいのか、どこまでプレイヤーに任せるのか悩みますが、自分の中での線引きはより少人数で、素早く主体的に動けるかを一番重要視することです。各メンバーがオーナーシップを持って取り組めているかを注視していますが、ほとんどが海外のメンバーということもあり自発性・積極性に優れているため、自分も常にオープンなコミュニケーションを心がけています。
藤井さんの目指す未来は?
会社が掲げているミッションである、オルタナティブ資産のプラットフォームの実現です。これには現実はまだ遠いと感じているので、もっと近づくためにエンジニアサイドから盛り上げていくことが欠かせません。ベンチャー企業の開発組織としては大きい方だと思いますが、さらに全体の成熟度を上げたいです。そしてこの先、エンジニアの分野に対して世間的な関心がどんどん高まり浸透するように、情報発信を増やしながら事業を大きくしていきたいと思っています。
転職を検討されている方へ希望される方へ、メッセージをお願いします。
自分自身、多くのチャレンジができるようになったので、転職して本当によかったと思っています。私の場合、最終の意思決定は「プロダクトと組織に魅力を感じるか?」でした。会社がやっていこうと決めたことは大変壮大でチャレンジングでしたので、決めきれない方はそういった大きい船に思い切って飛び込むことも手なのかもしれません。最後の判断って、誰しもが怖いと思います。それを乗り越えるため、私はやれるだけやった上で、最後は自分の決めた判断基準を信じています。組織のマネジメントをしながら思うことでもありますが、全員が納得する結果はないので、そこを割り切りながら、最終決定者は自分であることを意識できると良いのかなと。私自身も今の現場からマネージャーとしてメンバーの気持ちを懸命に汲み、チャレンジを続けていくつもりです。