「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」の実現に向けて 代表取締役社長の挑戦
株式会社Stockは、2018年、「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」をミッションに、チームの情報を最も簡単に残せるツール「Stock(ストック)」を正式ローンチ。
わずか5年で約15万社に導入されている画期的なプロダクトに成長させています。また、2020年、コロナ禍でベンチャーキャピタル(VC)から総額1億円の資金調達を達成し、2021年週刊東洋経済「すごいベンチャー100」に選出された注目の企業です。
株式会社Stockの創業者であり代表取締役社長を務める澤村大輔さんは、大学時代、サイバーエージェント創業者・藤田晋氏の著書『渋谷で働く社長の告白』との出会いから、「起業家」として生きることを決意。
世の中を良くしたいという同じ思いを抱くメンバーとともに、事業アイデアゼロ・お金もゼロ・会社もないという状態で起業されました。情報共有ツール「Stock」が生まれた経緯や、ミッションに対する思いを存分に語っていただきます。
■世の中に大きなインパクトを与えることができる「起業家」という生き方を目指す
ー 起業に至るまでの経緯について教えてください。
子どもの頃から、「自分の力で、世の中を良くしたい」という思いを抱いていて、それは息をするのと同じくらいの「感覚」として持っていました。ただ、それが具体的に一体どんな職業なのかはまったく想像がつきませんでした。
起業に興味を持ったのは大学生の頃で、サイバーエージェント(CA)創業者・藤田晋氏の著書『渋谷で働く社長の告白』を読み大きな衝撃を受けました。年齢やバックグラウンドなどに関わらず、世の中に大きなインパクトを与えることができる「起業家」という生き方が存在することを知り、自分も「起業家」として挑戦したいと考えるようになりました。
大学在学中にベンチャー企業で1年半ほどインターンしましたが、自分の力は圧倒的に足りていないと痛感。ビジネスのベーススキルを身につけるため、大学卒業後、大手経営コンサルティングファームに就職しました。数年間、全力で一生懸命働いた後、「世の中にインパクトを与えるサービスを生み出したい」という思いだけを抱えて起業を決意し、一緒に目標に向かう仲間を探し始めました。
ー 創業仲間をネット掲示板で探されたとか?
はい(笑)。他にも仲間を探す方法は色々あると思うのですが、直感的に「起業 仲間 募集」でネット検索しました。みるからに怪しい掲示板しかありませんでしたが、そこで出会ったのが、共同創業者となる現CTOの大道(だいどう)です。初めて会ったカフェで会話をしている中で、彼がとても優秀な人物ということが分かっただけでなく、なんと生年月日が「1986年1月1日」と私とまったく一緒だということが判明しました。さすがにこのタイミングで、誕生日が正月被りなのは、神様から「この男と何かを始めろ」というメッセージだと思い、会ってから2~3時間しか経っていませんでしたが、彼を起業に誘いました。
当時彼は、リクルートでエンジニアディレクターをしていましたが「必ず素晴らしい景色を見せることができるから、リクルートを辞めて自分と一緒に付いてきてくれ」と言ったところ、彼が本当にその月末にリクルートを辞めてきたのがすべての始まりです(笑)。
もちろん、この誕生日の正月被りだけではなく(笑)、「世の中を突き動かすサービスをつくりたい」「世の中に大きなインパクトを与えたい」という思いが全く同じだったということが最も大きなポイントでした。この思いは、のちに加わった3人目の創業メンバーもまったく同じ気持ちでした。
■『非IT企業』のペインを解決するIT企業になれたのは、自分が『非IT』の人間だったから
ー「Stock」というプロダクトのアイデアが生まれたきっかけは?
起業当初は、「鬼ツッコミ」というWebサイトに関するコンサルティングサービスのようなものを展開していました。しかし、「鬼ツッコミ」で価値提供できるのは、大きな予算をかけることができる一部の企業様だけでした。一方、私たちがやりたいのは、「より多くの人の課題を解決し、世の中に大きなインパクトを与えるサービス」です。
そこで、順調に業績を伸ばしていた事業を思い切って辞め、3人でゼロから事業アイデアを考え始めました。「世の中を良くしたい」という情熱はあるものの、自分たちがやるべき事業アイデアが一個も思いつかない・・・先行きが何も見えなかったあの頃が、一番辛かったですね。当時、「事業アイデア100本ノック」という形でアイデアを出し合っていましたが、その100本の中に「Stock」があったわけではありません。
幾つかの事業アイデアを並行して、いわゆるチャットツールでやりとりをしていたのですが、「チャットだと、記載した情報がことごとく流れていってしまうため、後から振り返ることができない」という悩みに直面しました。かといって、パワーポイントやエクセルでファイルをいちいち作って共有するのも面倒です。
このような自分たちの悩みを解消するツールが世の中にはなかったため、あくまで「社内用の情報共有ツール」として、CTOの大道が3日で作ったのが「Stock」というプロダクトの原型です。私がホワイトボードに「こういうのが欲しいんだよね」と描いたのを、CTOの大道が3日という期限で開発しました。わずか3日で作ったものなので、当然デザインもあたっていないし機能もほとんどない非常に粗末なものでしたが、初めてStockの原型を触った時、あまりの便利さに強烈な衝撃を受けたことを今でも覚えています。
ー「Stock」はどんなプロダクトですか?
「Stock」は、チームの情報を最も簡単に残せるツールです。議事録や商談記録、マニュアルなどあらゆる情報を最も簡単にストックできます。『非IT企業』の方々を念頭にサービス展開しているため、プロダクトがシンプルであることが非常に重要となります。そのため、私たちは「40度の熱があっても、0.5秒で分かるのか?」ということを開発・運営の厳格な基準としているほど、とにかくプロダクトを徹底的にシンプルに保ち続けています。実際、導入先の学習塾様からは、「IT に詳しくない65歳の方でも、何の説明もなく使えるほどシンプル」とご評価をいただけているほど、シンプルなプロダクトです。
ーIT企業である御社が、なぜ『非IT企業』のPain(痛み)に気づけたのですか?
実は、私自身、本来はITリテラシーがとても低い人間です。周りがみんなスマートフォンを買っても、ガラケーを使っていたくらいですから、難しい操作や複雑な機能が嫌だというのは、私自身がすごく感じていることでした。
このように、私自身が思いっきり『非IT』な人間ですので、『非IT企業』の方々のPainが、完全な自分ごととしてとにかくリアルに実感しているのです。
世の中には多くの情報共有ツールがありますが、その多くは「ITに詳しい人たち」のためのものです。「Stock」は、とにかく『非IT企業』の方々に徹底的にフォーカスして、『非IT企業』の方々が使いやすく情報共有のストレスを取り除くために開発されているプロダクトです。
ーサービスのローンチから5年。順調な伸びを見せていますね?
ありがとうございます。これまでユーザー様の口コミだけで、ほとんど広告宣伝費をかけずに、「Stock」は15万社が登録するようなプロダクトになっています。はじめは中小企業の方々に導入いただくことが多かったのですが、最近では行政機関や大手企業の方々の導入が急速に増えてきています。
また、2020年9月には、1億円の資金調達を実施しています。当時はコロナ禍でしたので、オンラインでプレゼンさせていただくという形でしたが、素晴らしい投資家の方々に、私たちのミッションを理解していただくことができました。
今後も、株式会社Stockの唯一の羅針盤は、私たちのミッションである「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」ことです。このミッションの実現に向かって、「Stock」の海外展開や、「Stock」で解決できない課題を解決するための新規事業を立ち上げていきます。
実際、このミッションに向かうという考え方のもと、現在、新規事業立ち上げの準備を猛スピードで進めています。
■ミッションの実現に必要なのは、マラソン的な粘り強さ
ー株式会社Stockの社風や特色を教えてください。
そうですね。Stockのメンバーを一言で表すと、「とても穏やかな人ばかり」でしょうか。ベンチャーと聞いてイメージする(?)「オラオラしている人」は一人もいません(笑)。
働き方の点でも、「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」というミッションを元に考えています。
私たちの「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」というミッションの実現は、とても一朝一夕で叶うものではない壮大なものなので、短距離走的に1日、2日、徹夜して頑張っても仕方ありません。そのため、メンバー全員が「心身の健康」を保ち続け、マラソンを走るように粘り強く仕事を進めなければいけません。
毎週月曜日に行われる「週次ミーティング」では、私から必ず「みんなの『心身の健康』よりも大切なタスクは、絶対に存在しない」と、全員の目を見て伝えています。どんなにしつこいと言われても、何と言われても、必ず私自身から、毎週毎週、全員に向かって言い続けています。
そのような考えが徹底されているので、スタートアップではありますが、とにかくメンバーが無茶な働き方は決してしないよう、私をはじめマネジメントメンバーが強く心がけています。定時は9:30〜18:30ですが、平均の退社時間は大体19:30くらいでしょうか。
また、Stockでは、年齢・入社年次・性別・国籍など、「『本人に操作性のない事柄』での差別は、絶対に禁止」、というルールを設けています。入社初日のインターン生であっても、社長をはじめメンバーの誰とでもフェアに話せる場所を作りたいという思いからです。そのためには、スポーツにおける「ルール」みたいなものが必要なため、株式会社Stockでは、「論理的に物事を進めていく」ことをとても重要視しています。
入社時に「論理的に物事を進める」ためのごく簡単なアプローチを共有しており、社員もインターン生もこのアプローチをベースに誰もが臆せずガンガン発言するので、Stockのミーティングを初めて見た方は皆さん本当に驚きます(笑)。
ー勤務スタイルは?
株式会社Stockでは、「週5日でフル出社」を基本ルールにしています。
コロナ禍では一時期「フルリモート」をしていましたが、どうしてもスピード感に欠け、ミーティングなどのコミュニケーションのストレスが非常に大きいものでした。
このようなこともあり、出社のメリットが改めて再認識され、「週5日でフル出社」としています。
さらに、我々のようなアーリーステージでは企業文化を作ることも重要で、その点でもフル出社の必要性を感じています。
また、未経験で入社される方も多いことから「すぐに質問できる環境」が整っていることも「フル出社」の魅力だと思っています。
■Stockの採用では、「マインドセット」を重要視
ーどんな人材を求めていますか?
株式会社Stockでは、「スキルセット」「マインドセット」があった時に、とにかく「マインドセット」を徹底的に重要視しています。
「スキルセット」とは、〇〇の経験がある・〇〇という能力があるという、通常の選考でよくメインテーマになるものです。
他方「マインドセット」は、その方が働く上でどのようなことを重要視しているかという、働く上で大切にする方向性や価値観のようなものです。
私たちは「スキルセット」ではなく、この「マインドセット」が私たちと同じ方向を向いているかということを、徹底的に重要視させて頂いています。
なぜなら、「スキルセット」は後からいくらでも伸ばすことが出来ますが、「マインドセット」はその方の方向性や価値観なので後から変えることは基本的には不可能です。
例えば、「転職の軸はなんですか?」という質問に対して、「自分のスキルアップのため」と答える方も少なくないかと思います。もちろん、とても良いと思いますし素晴らしいことだと思いますが、それに加えて、「世の中を良くしたい」「チームに貢献したい」といった、他者貢献の軸があるということが、Stockで働く上では絶対に欠かせない要素です。
どちらの考えがいい、悪いではないのですが、私たちとしては、「世の中のため」「非IT企業の方のため」「チームのため」という、他者貢献の軸を重要視する方と是非一緒に働きたいなと思っています。
―最後に、Stockにジョインしたい人へ、メッセージをお願いします。
繰り返しになりますが、株式会社Stockでは、「世の中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」というミッションが、唯一の羅針盤です。
このミッションを一緒に目指したいと思っていただける方と是非一緒に働くことができればとても嬉しく思います。
私は、Stockで一緒に働くメンバーにはとにかく全員幸せになってほしいです。いつも真面目に言うのでみんなに笑われてしまいますが(笑)、本当に心の底からStockで一緒に働くメンバーには幸せになってほしいと思っています。
「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」というミッションにご興味をお持ち頂けた方、是非ご連絡ください!お待ちしています!